研究概要 |
酸化物粉体や、各種硝酸塩水溶液から沈殿法などにより無添加CeO_2,Nd添加CeO_2,Gd添加CeO_2,Zn添加CeO_2を合成し、各種温度で熱処理した。これらの試料をX線回折,電子顕微鏡(SEM, TEM)、密度測定などにより評価し、添加物量、焼成温度、合成法などの点から整理した結果、以下のことが明らかとなった。(1)硝酸セリウムと尿素の水溶液を加熱して生じる沈殿は最初小さい球状粒子で、時間経過と共に成長した。このとき、ホットプレートで加熱すると棒状粒子へと成長するが、マイクロ波加熱すると条件によっては球状のまま成長することがあった。(2)尿素を用いた均一沈殿法で合成したNd添加Ce_2O(CO_3)_2を試料浮遊型電気炉で焼成すると、凝集しないで元の形を維持したままCeO_2になることが分かった。(3)Zn添加CeO_2を作製するためにはシュウ酸化合物を作製して分解するか、ZnOと硝酸セリウム水溶液から作製するのが良いことが分かった。あまり高くない温度(500℃)で焼成するとZnのCeO_2に対する固溶限界は5〜10%であったが、高い温度(800℃)で焼成するとZnOのX線回折ピークが現れ、Znの固溶限界は5%以下であることが分かった。(4)酸化セリウムにガドリニウムを添加すると蛍石型構造を維持したまま格子定数が増加した。すなわち、固溶していることが分かったが、40%以上になると、希土類C型構造に特徴的な新しいX線回折ピークが現れ、格子定数も一定になった。60%以上ガドリニウムを添加すると格子定数は減少し始めたが、X線回折のピークは希土類C型構造のままであった。逆にGd_2O_3にCeが固溶していることを示した。また、この系で試料の密度を実測したところ、10%Gd添加CeO_2では、陽イオン格子間モデルが支配的な欠陥である可能性が示唆された。
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