ある条件の水溶液を加熱して酸化セリウム系固溶体を合成する時、通常の方法で加熱する場合とマイクロ波で加熱する場合で試料形状に違いが生じることを見出した。また、これらの粉末試料を900℃でか焼すると焼結後最も高密度体が得られることも見出した。焼結と熱処理後、結晶相の同定、格子定数、密度の測定などを行い、NdO_<1.5>添加CeO_2、GdO_<1.5>添加CeO_2、YO_<1.5>添加CeO_2ともに添加物量が30%程度と少ないところでは蛍石型構造、それ以上では希土類C型構造となるが、格子定数は添加物によって増加する場合(NdO_<1.5>添加CeO_2)、減少する場合(YO_<1.5>添加CeO_2)、増加後減少する場合(GdO_<1.5>添加CeO_2)に分かれた。これらの固溶体中で支配的な点欠陥は蛍石型構造の領域では陰イオン空孔であったが、希土類C型構造の領域では、CeO_2を母体と考えた陰イオン空孔(NdO_<1.5>添加CeO_2)、YO_<1.5>を母体と考えた陽イオン空孔(YO_<1.5>添加CeO_2)と変化した。GdO_<1.5>添加CeO_2については少し陽イオン格子間が存在するデータも得られたが、再現性が悪く、詳細は今後検討する必要がある。CeO_2に対するNdO_<1.5>の固溶限界は900-1400℃の幅広い範囲で高い傾向を示したが、500℃になると高濃度(約70%NdO_<1.5>)のところで相分離することが分かり、固溶限界は少し温度依存性を示した。400-550℃の温度におけるNdO_<1.5>添加CeO_2の酸素拡散係数は750℃以上のデータの延長上にあり、400℃の低温でも高い酸素拡散を示すことが明らかとなった。
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