研究課題/領域番号 |
12650686
|
研究機関 | 福島工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐東 信司 福島工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (70090511)
|
研究分担者 |
内田 修司 福島工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (80185024)
|
キーワード | SiC繊維 / SiC系複合材料 / 高減衰能材料 / PIP法 / 再含浸 / 弾性率 / 内部摩擦 / 高温特性 |
研究概要 |
本研究ではポリマー溶液含浸熱分解法(PIP法)を用い、SiC長繊維をSiC微粒子とC微粒子の混合物からなるマトリックスで複合材料を作製し、材料の密度変化による弾性率と内部摩擦の特性・高温までの温度依存性・強度特性について調べ、高減衰能材料としての適用について検討ることを目的とした。 強化繊維はニカロン長繊維(SiC:直径14μm)を用い、500本の繊維束で8枚朱子織したシートを3枚重ねにし、マトリックス溶液はフェノール樹脂溶液にSiC粉末(SiCpow)とC粉末を添加させ、その混合重量比を3種類変化させて1mm厚さのSiC/SiC_<pow>C複合材料を作製した。この時の繊維含有率は約40%である。また、密度向上のためのフェノール樹脂含浸を9回まで繰り返した。 フェノール樹脂を炭化すると体積が約50%減少し、マトリックス中に気孔やマイクロクラックが多数存在するが、これらの欠陥にフェノール含浸を施した結果、9回含浸で全ての材料がほぼ飽和状態に達し、最高密度2.0g/cm^3を得ることができた。弾性率は密度の増加とともに上昇する傾向を示し、最大で47GPaを得た。一方、内部摩擦は密度の増加とともに減少する傾向を示し、欠陥の減少によって振動減衰が抑制されたためと考えられる。また、9回含浸で最大応力値283MPaを得た。弾性率と内部摩擦の温度依存性ではSiCpowを多く含んでいる方が弾性率は高く、内部摩擦は800K付近から上昇をはじめた。これは粒界あるいは界面の滑りによって発生する内部摩擦の変化であることが推察される。この他、化学気相反応法(CVI法)あるいはゾルゲル法を用いてホットプレスで作製したSiC/SiC複合材料と比較検討した結果、今回作製した試料が高温で最も高減衰能を示す材料であることが明瞭に得られた。更なる工夫によって弾性率および内部摩擦を向上させることが可能と考えられる。
|