研究概要 |
1.機械的繰り返し負荷に対する形状記憶素子の耐久性評価 形状記憶合金に共通する間題は,機械的負荷あるいは加熱・冷却の繰り返しによる形状記憶機能の劣化(いわゆる記憶ボケ)である.そこで油圧サーボ式疲労試験機(既設・恒温槽付き,SVF-200/25-CPU, JTトーシ)で作成した形状記憶素子に繰り返し曲げ負荷を与え,疲労過程の内部微視組織の変化をTEMで観察し,申請者らがこれまで明らかにしてきた形状記憶合金バルク材の疲労破壊機構とを比較・検討しながら提案した形状記憶素子の破壊のメカニズムを明らかにした. 2.傾斜組成膜の合成と金属組織学的評価 TiNi合金の形状記憶特性は合金中のNi濃度や第三元素(例えばCu)の添加に強く影響される事が知られている.TiNi膜のNi濃度を基板側から連続的に変化させる事で,これまでに無い特性を有する形状記憶合金薄膜ができることが予想される.そこで,スパッタリング装置内にTi-50at.%Ni,純Ti及び純Niの三ターゲット材を配置し,成膜条件を制御して傾斜組成膜(目標組成:49〜51at.%Ni)をSi上に合成し,これら試料の隙記憶特性,内部組織構造観察,基板-膜界面構造の観察等の実験結果から傾斜組成膜の形状記憶特性発現機構について検討・考察を加えた.併せて,Cu等の第三元素添加の影響についても同様の検討を行い,作製した形状記憶素子の基本特性を明らかにした.
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