研究概要 |
半導体用Si(100)で作製したカンチレバー上にDCスパッタリング法でNiMnGaを成膜(膜厚約1μm)し,バイモルフ型アクチュエータを試作した.ターゲットにはNi_<50>MnxGa_<(50-x)>(x=25〜30)を用いたが,膜の組成はターゲット組成よりもGa量が若干減少していた.室温での膜-基板界面の組織観察は,高分解能走査電子顕微鏡(Hitachi S-4200)と透過電子顕微鏡(JEOL4000FX,加速電圧300kV)で行った.基板を加熱せずに室温で成膜した場合は結晶化度の低いほぼ非晶質の膜が形成されていたが,873K以上で適当時間熱処理すると完全に結晶化した.基板温度を623Kあるいはそれ以上に保持したまま成膜した場合は,直径約200nmの柱状結晶の膜が形成されていた.結晶化したNiMnGa膜は強磁性であり良好な形状記憶合金特性を示した.膜の透過電子顕微鏡像と制限視野電子回折図形及びX線回折試験結果から,L2_1オーステナイト相から斜方晶マルチンサイトへ変態することを示唆する結果が得られた.カンチレバーを加熱冷却することで測定できるカンチレバーの変位量,Damping特性等の熱・機械特性も評価した.室温で成膜後熱処理したカンチレバーの温度-変位特性は,後熱処理温度に依存しており,熱処理温度が高いほど変位量も大きくなった.これらの調査結果から,マルチンサイト変態と逆変態を伴いながら大きな変位が得られたのは,基板温度658Kで成膜したもの,及び室温で成膜後873Kの後熱処理したものであった.
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