平成13年度は高温酸化反応の進行に伴って蓄積された成長応力によって保護性酸化物皮膜が破壊する際に、破壊に伴うアコースティックエミッション放出と同時に合金と水蒸気ガスの直接反応によって水素が放出されるかどうかを検討した。 その結果、SUS430ステンレス鋼を873-1073Kの温度範囲で酸化した際に、熱天秤による連続質量測定から皮膜の破壊が発生したと考えられる時間の直前では、確かにアコースティックエミッションイベントが頻繁に検出され、さらにそれ以前にもイベントは観測されて頻度が時間とともに増加することが明らかになった。また、アコースティックエミッションイベントがもっとも頻発する時間帯から、数秒の遅れを伴って水素発生が観測された。これより、皮膜破壊部を通して水蒸気が侵入し合金・酸化物界面で酸化反応が起こることは明らかになったが、イベント頻発時間以前でも水素発生が起こったかどうかは、感度の点から判断が困難であった。今後はより精密に水素発生を測る手段の導入が必要であると考えられた。
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