研究課題/領域番号 |
12650706
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
平井 伸治 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (10208796)
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研究分担者 |
玉田 靖 農業生物資源研究所, 昆虫新素材開発研究グループ, チーム長
三友 護 物質・材料研究機構, 物質研究所, 総合研究員
嶋影 和宜 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (70005346)
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キーワード | 絹微粉末 / チタン / ゾル-ゲル法 / ハイブリット被覆 / 紫外線照射 / 絹フィブロイン / 細胞付着試験 / 擬似体液浸漬 |
研究概要 |
細胞付着性に優れる絹フィブロイン蛋白質は、Ca^<2+>やHPO_4^<2->を供給できる水酸アパタイトが共存すればコラーゲン蛋白質と同様、骨様組織の結晶核となることが報告(1)されている。本研究では、医科歯科用インプラント材料の開発を指向した、絹微粉末と水酸アパタイトが複合化した皮膜をゾル-ゲル法によりチタン基板上に作製し、その骨様組織の形成について調査することを目的とした。ゾルはモル比でカルシウムジエトキシド:亜リン酸トリエチル:エチレングリコール:脱水エタノール:水:ジエチレングリコール=10:6:359:942:2.5:10の割合に調整した中性のゾル1mlに対し、ポリビニルピロリドンを0〜0.25g、さらに絹微粉末(平均粒径:8〜15μm)を0〜0.268g添加したものを用いた。絹微粉末は農業生物資源研においてアルカリ処理の後、機械的粉砕法により結晶性を損なわずに微粉化したものを用いた。被覆は純チタン基板(JIS:1種)をゾルに浸漬し、1〜6mm・s^<-1>の一定速度で引上げ、大気中乾燥、常温の紫外線照射(波長:184.9nm、253.7nm)からなる操作を繰り返すディップコーテング法により行った。被覆後の繊維試料は、擬似体液に7日間まで浸漬し、繊維表面における骨様組織の形成状態を観察した。さらに、牛胎児血清を含むMEM培地中に懸濁した上皮繊維芽細胞を用いた細胞付着試験を行った。皮膜のATR法によるFT-IRスペクトルから、絹フィプロイン蛋白質のβシート構造に起因した1632、1697cm^<-1>付近における吸収が確認された。また、皮膜表面のXRDにより結晶性に優れた絹に起因したピークが検出された。疑似体液への浸漬実験では、3日以降の浸漬において絹の配向性に起因するものと推定される絹粒子同士を繋ぐ新たな析出物からなる網状組織が観察された。さらに、皮膜の細胞付着試験から、未処理の絹繊維には劣るものの、比較的良好な細胞付着性を示すことが明らかになった。
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