研究課題/領域番号 |
12650706
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
平井 伸治 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (10208796)
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研究分担者 |
玉田 靖 農業生物資源研究所, 昆虫新素材開発研究グループ, チーム長
三友 護 物質・材料研究機構, 物質研究所, 総合研究員
嶋影 和宜 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (70005346)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | ポリビニルピロリドン / コラーゲン / 絹微粉末 / ゾル-ゲル / ハイブリット被覆 / 紫外線照射 / 高弾性被膜 / 細胞毒性 |
研究概要 |
ゾルはカルシウムジエトキシド、亜リン酸トリエチル、エチレングリコール、脱水エタノール、水、ジエチレングリコールから作製したものに、ポリビニルピロリドン(PVP)の他、食用コラーゲンまたは絹微粉末を添加したものを用いた。〔PVP-水酸アパタイトハイブリット被覆〕皮膜の微小押し込み試験から、PVP未添加のゾルの場合は塑性変形率が84%、弾性変形率が13%であったのに対し、PVPを0.25gまで添加すると各々28%、66%となり皮膜が柔軟化すると同時に高弾性化した。同じ被覆を施したチタン基板の引張試験の結果、基板の伸びが33%に到って始めてゴムが弾けたような亀裂が観察され、それまでは皮膜も基板に追従して伸びることから、皮膜の優れた密着性が確認された。さらに、皮膜の細胞毒性試験からは、PVPの添加量に関わらず未被覆の純Ti板同程度の細胞活性、すなわち低い細胞毒性を示すことが判った。〔PVP-コラーゲン-水酸アパタイトハイプリット被覆〕被覆に先立ち紫外線照射による基板表面温度の照射時間依存性を調べた結果、基板の裏側から冷却した場合の基板温度は、14.4ksの照射においても310Kを超えなかったが、未冷却の場合は410K以上まで達することが確認された。また、ゾルの紫外線吸収スペクトルを測定したところ、コラーゲン粉末は184.9nmと253.7nmのいずれの波長の光もほとんど吸収せず、一方、PVPを添加したゾルやPVP未添加のゾルは各々の光を吸収することが判った。また、皮膜のFT-IRスペクトルからは、水酸アパタイトのPO4^<3->、OH^-、CO3^<2->の吸収に混じり、コラーゲン蛋白質のN-H変角振動による1550cm^<-1>付近の吸収とヘリックス構造またはランダンダム構造に起因した1647cm^<-1>付近の吸収が検出された。疑似体液への浸漬実験からは、コラーゲンが分散したハイプリット皮膜の場合、7日間の浸漬において微細な析出物が観察されたが、コラーゲン未添加のPVP-水酸アパタイトハイブリット皮膜や未被覆のチタンの場合は、この析出物は観察されなかった。〔PVP-絹フィブロイン-水酸アパタイトハイプリット被覆〕皮膜のFT-IRスペクトルから、絹フィブロイン蛋白質のβシート構造に起因した1632、1697cm^<-1>付近における吸収が確認された。また、皮膜表面のXRDにより結晶性に優れた絹に起因したピークが検出された。疑似体液への浸漬実験では、コラーゲン-水酸アパタイトハイプリット皮膜と同様に7日間の浸漬において水酸アパタイトの微細な析出物が観察されたが、3日以降の浸漬において絹の配向性に起因するものと推定される絹粒子同士を繋ぐ新たな析出物からなる網状組織が観察された。さらに、皮膜の細胞付着試験からは、絹繊維には劣るものの、比較的良好な細胞付着性を示すことが判った。
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