錯体重合法による酸化物熱電変換材料の作製と物性の測定

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12650714
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 勝山 茂 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00224478)
• キーワード: 錯体重合法 / 熱伝材料 / 電気抵抗率 / 熱電能 / 熱伝導率 / 酸化亜鉛

研究概要

本研究は錯体重合法を用いて微細組織制御を行った酸化物熱電変換材料を作製し、その熱電特性の評価を行うものである。錯体重合法はあらゆる酸化物材料の作製に有効であると考えられるが、本年度はZn_<1-x>Al_xO系について、その熱電特性を中心に検討を行った。硝酸亜鉛と硝酸アルミニウムの水和物およびクエン酸、エチレングリコールを縮退重合することにより得られた高分子ポリマーを、空気中で加熱分解して樹脂中の水素および炭素を完全に取り除くことにより、非常に微細で成分元素が均一に混合された前駆体粉末を得た。その粉末をSPS(放電プラズマ焼結装置)により10(8160)1630MPaの圧力下、1100℃で数時間加熱して焼結体試料を得た。得られた焼結体について、X線回折、SEM観察、NMR等により検討を行った結果、焼結体の結晶粒は非常に微細であること、ZnサイトヘのAlの固溶域は約0.01であり、固溶領域組成ではAlは均質にZnサイトへ固溶していることなどが確認できた。ゼーベック係数の絶対値、電気抵抗率はAlの添加量の増加に伴い、減少する傾向が見られたが、x=0.01以上では物性値が飽和する傾向が見られた。また、熱伝導率は置換量の増加に伴い、減少した。その結果Alの添加量x=0.0025の試料において最大の性能指数が得られた。以上の結果から、錯体重合法は均質な試料の合成、キャリアの微量注入に有効であることが確認できた。

研究成果

• [文献書誌] S.Katsuyamaほか3名: "Effect of Ti, Nb and Zr Doping on Thermoelectric Performance of β-FeSi_2"Journal of Alloys and Compounds. 315. 251-258 (2001)
• [文献書誌] S.Katsuyamaほか4名: "Thermoelectric Performance of n-type and p-type β-FeSi_2 Prepared by Pressureless Sintering with Cu Addition"Journal of Alloys and Compounds. 319. 303-311 (2001)
• [文献書誌] S.Katsuyamaほか4名: "Phase Relation and Thermoelectric Properties of the Ternary Lanthanum Chalcogenide system La-A-S (A=Ca, Ba)"Journal of Alloys and Compounds. 320. 126-132 (2001)
• [文献書誌] S.Katsuyamaほか4名: "Effects of Cu Addition on the Thermoelectric Properties of Hot-pressed β-FeSi_2 with SiC Dispersion"Journal of Alloys and Compounds. 322. 226-232 (2001)
• [文献書誌] S.Katsuyamaほか4名: "Preparation of SiC Dispersed Fe_<0.98>Co_<0.02>Si_2 by Pressureless Sintering with Cu and Si Addition and its Thermoelectric Performance"Materials Transactions, JIM. 42・7. 1451-1457 (2001)
• [文献書誌] S.Katsuyamaほか4名: "Magnetic Properties and Microstrucure of SmCo_5 + α-Fe Nanocomposite magnets Prepared by Mechanical Alloying"Journal of Alloys and Compounds. 329. 272-277 (2001)