研究課題/領域番号 |
12650719
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
瀬尾 健二 姫路工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70047603)
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研究分担者 |
日下 正広 姫路工業大学, 大学院・工学研究科, 講師 (40244686)
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キーワード | LSI素子 / 異方導電性接着剤 / フリップチップ / マイクロ接合 / 熱応力 / 有限要素法 / エネルギ解放率 / はく離 |
研究概要 |
異方導電性接着剤を用いた高密度素子接合部の接合安定性を熱疲労破壊の面から定量的に解明することを目的とし、異方導電性接着剤を用いてLSIチップを回路基板にフリップチップ接合を行った実装接合部を対象に、接合部に生じる熱応力によるはく離発生・伝播に関して理論解析を行うとともに、樹脂部残留応力の超音波顕微鏡による測定の可能性を検討し以下の成果を得た。 1.昨年度の研究に引き続き板厚0.5mm、大きさ14mm正方形シリコンチップを実装したモデルについて、135℃の温度変化に対応する有限要素熱応力解析を行った。金バンプと銅電極の間の圧縮応力は150MPa以上となり冷却時の接合安定性は確保できる。しかし実際には金バンプは塑性変形し、この塑性変形が大きいと、次の温度上昇時に金バンプと銅電極間に圧縮応力が確保できなくなり接合部の信頼性が失われることが明らかになった。 2.シリコンチップと金バンプの角部にある接着層には非常に大きな引張応力が発生する。特にその値は最外部にある金バンプの角部で最大となり、この部分からシリコンチップと接着層の間ではく離が生じる。この部分のエネルギ解放率を有限要素法で計算した。金バンプが塑性変形した場合は得られるエネルギー解放率は小さくなり、信頼性は向上する。このことより実際の素子接合部の接合安定性を向上するためには金バンプの塑性変形量をいかに適当な量とするかが重要となる。 3.超音波顕微鏡を用いて漏洩クーピング波速度から樹脂内に生じている残留応力を評価する方法を提案した。そしてこれを用いることにより導電性接着剤を用いたLSI素子接合部に生じる残留応力を推定出来る可能性を見いだした。これは今後の接合安定性の検討に大きく寄与できる。
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