研究概要 |
1.真空圧延機の圧下特性向上と設備信頼性の改善:高真空度(10^<-5>Torr)が安定して維持できるように,川並らの特許にもとずいて設計された圧延機で径165mmの2段ロールを常用しているが,大圧下圧延の実現のため極小径30mmをもつ特殊な組付装置による4段ロール(特許申請中)もすでに開発ずみである.このたびサイアロンロール使用時の圧下力を増大するため,ロールオフセット量を変更して軸径部の相対的な強度改善を計った. 2.真空雰囲気下での圧延プロセストライボロジーの研究: (1)真空無潤滑冷間・温間圧延:ステンレス304,430,チタン,銅,アルミニウムをSKD61ロールで無潤滑冷間圧延した結果,いずれも高真空度で圧延荷重が増加,圧下率が増すにつれてその傾向は顕著になる.無潤滑温間圧延ではステンレス304,チタンで逆の傾向を示すが,そのほかの材料は余り変化しない. (2)真空潤滑冷間・温間圧延:室温で5×10^<-13>Torrの低い蒸気圧を持つPFPE(Perfluoropolyethers)の圧延潤滑性は各金属の市販油に比して優れている.冷間圧延では真空度の増加で荷重が増加する傾向があるがアルミニウムは殆ど変わらない.温間圧延ではステンレス304,チタンの逆傾向が注目される. (3)サイアロンロールの挙動:SKD61,サイアロンの2種類のロールでステンレス304,チタンの冷間,熱間真空圧延を行い,特に熱間でサイアロンでの荷重低減が大きいことを確認した.一般に圧延後の板表面の粗さは大きく,光沢度は減少する. (1)(2)(3)を通じてロール表面への凝着現象,温間におけるPFPEの粘性低下の影響,板・ロール表面性状の変化などを継続して調査中である. 3.TiAl金属間化合物の切削加工特性:Ti-47at%Al-3at%Crの材料のエンドミル端面加工,フェイスミーリング加工を行い工具の損傷,加工精度を調査した結果,難削性が高くまた凝着剥離による工具寿命の短さが明らかになった.
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