研究概要 |
傾斜構造セラミック薄膜基板の焼成過程では気孔構造に起因してそりがしばしば生じる.本研究は傾斜機能材料の焼結解析法を本プロセスに適用し,そりの起こらない最適条件を見出すことを目的とする.昨年度は解析の基礎となる焼結構成モデルを改良し,粒度分布及びその焼結中の変化を考慮できるように発展させた.本年度は焼結実験を行い,解析結果と比較した. 1.焼結実験 沈降法により作製した傾斜アルミナ成形体と,それらを850℃及び1200℃で焼成した焼結体を4層にスライスし,各層の粒度,気孔径,密度の分布を測定した.また,焼結体の収縮,形状変化を計測した. 2.実験と解析の比較 (1)粒度分布,気孔径分布の変化 上部層で特に微細粒が消滅し,粗粒が増加するという現象が実験でも確認され,計算結果はよく一致した. (2)収縮,緻密化,変形 焼結体の半径方向の収縮とそりの計測値及び密度分布はそれぞれの計算値とよく一致した.また,作製した試料ではそりがわずかであることが実験でも確かめられた. 以上のことにより,改良した焼結解析法の妥当性が検証できた.また,そりのない焼結体を,計算により理論的に予測し,焼成可能であることが確認できた.
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