研究課題/領域番号 |
12650733
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平藤 哲司 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70208833)
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研究分担者 |
林 好一 東北大学, 金属・材料研究所, 助手 (20283632)
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 助手 (30283633)
粟倉 泰弘 京都大学, 工学研究科, 教授 (70109015)
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キーワード | 室温溶融塩 / 金属電析 / 4級アンモニウムカチオン / イミドイオン / ニッケル / 亜鉛 / マグネシウム / 銅 |
研究概要 |
4級アンモニウムカチオンとイミドイオンであるbis((trifluoromethyl)sulfonyl)amideアニオン(Tf_2N-)からなる室温溶融塩を金属の電析媒体として使用することを目標とし、銅、ニッケル、亜鉛、マグネシウムの酸化還元挙動について調べた。 電解は三電極法により行い、参照電極には溶融塩中に15mM I_2と60mM(n-Pro)_4NIを溶解しPt線を浸漬したPt/I-,I_3-電極を用いた。電解浴の温度はいずれも50℃とした。 Cu(Tf_2N)_2を含む溶融塩では、電極の金属銅と溶融塩中のCu(II)の間の酸化還元反応によりCu(I)が生成し、電解によりCu(I)から金属銅の析出が認められた。Ni(Tf_2N)_2を0.05M含む溶融塩のサイクリックボルタモグラムには、ニッケルイオンを含まないときには見られなかった明瞭なカソードピークが約-1.2Vvs.I-/I_3-、アノードピークが1.2Vに観測された。これはニッケルイオンの酸化還元反応によるものと思われる。作用極にCu板、対極にNi板を用い、電位-1.2Vで定電位電解を行ったところ、黒色の電着物を得た。X線回折からこの電析物が金属ニッケルであることを確認した。またZn(Tf_2N)_2を0.05M含む溶融塩のサイクリックボルタモグラムにも、溶融塩中の亜鉛イオン種の酸化還元反応によると思われるいくつかの電流ピークが見られた。作用極にCu板、対極にNi板を用いて電位-1.2Vで定電位電解を行い、得られた黒色の電着物をX線回折で測定した結果、金属亜鉛の電析を確認した。Mg(Tf_2N)_2を0.05M含む溶融塩のサイクリックボルタモグラムには、約-2.6Vにマグネシウムイオンを加えたことによると思われる還元電流ピークが見られた。作用極にCu板、対極にマグネシウムリボンを用いて電位-2.6Vで定電位電解を行ったが、作用極、対極ともに重量変化は見られなかった。マグネシウムの電析には浴条件や電析電位のさらなる最適化が必要であると思われる。
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