本研究では、電炉ダストのオンサイト処理を可能にするプロセスの開発を目指す。硝酸浸出-電解採取を対象とする。低濃度の硝酸溶液をZn浸出液として用い、鉄の浸出は抑制する。浸出残渣は電炉原料として繰り返す。浸出されたZnは電解採取により回収する。 プロセスの開発基礎研究として、電炉ダストの硝酸浸出実験、浸出液からの不純物除去実験、硝酸溶液からの電解採取実験をおこない、プロセス特性を明らかにした。 (1)亜鉛華を溶解した硝酸溶液からの電解採取実験をおこない、以下の知見を得た。 400A/m2以下では電気量に応じた析出が得られる事が分かった。 電解析出した亜鉛は、洗浄乾燥後、析出形態を測定するまでに、ほぼ酸化されZnOの形態であった。 (2)ダストの性状調査と硝酸浸出実験をおこない以下の知見を得た。 電気炉ダスト中の亜鉛の形態としては、ZnOおよびZnFe204で、硝酸による浸出ではZnOだけでなく、難溶性のZnFe204の一部も浸出される事が分かった。 ダストの添加量が多い時には、初期に浸出液中の鉄濃度は高くなるが、亜鉛の溶解に伴ってpHが高くなると鉄濃度が低下することが分かった。 Pb浸出率はダスト添加量が低いほど高く、添加量の増加とともに減少する。硝酸濃度の高い方がPb浸出率は高くなった。 (3)電気炉ダストの硝酸浸出溶液からZnの電解採取実験をおこない、以下の知見を得た。 カソード極より激しく気泡が発生し、蓄積が起こる。 活性炭処理を施すと気泡の発生はあるものの蓄積は起こらない。 浸出液中に溶解しているシリカを煮沸・濃縮し除去すると電解析出物中のZn濃度は12mass%から54mass%へと高くなったが、ゲル状の析出物は発生した。
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