マグネシウム合金のうち、成分にAlを含有するものは、C_2CL_6を含有する結晶粒微細化剤が工業的に使用されてきたが、ダイオキシン発生のために、現在は使用が禁止されている。一方、この合金系では、溶融温度を850-900℃に過熱することで、結晶粒が著しく微細になることが知られている。この方法は高温処理のみのために、熱エネルギーは多く必要であるが、環境汚染はなく、最近見直されている技術である。しかしながら、微細化メカニズムについては、いまだに不明である。本研究は、過熱処理したAZ91合金を溶融状態の各温度から急冷して、その状態を凍結して組織観察とEPMA分析を行うことにより、微細化のメカニズムを調べた。その結果、過熱処理を行うことにより、マグネシウム合金中の不純物が融液中に溶け込み、不純物の炭素のみが未溶解として残る。これと成分のAlが反応して、Al_4C_3化合物を生成して、凝固温度の低下とと右にマグネシウムの結晶核として作用することが明らかとなった。さらに、不純物の少ない高純度地金を用いて、Mg-Al合金を作製して、溶解凝固を行ったところ、同様にAl_4C_3が核生成物質として作用して、微細結晶粒子になった。この場合、とくに過熱処理の有無に関係なく、結晶微細化が起こった。また、炭素は高純度Mg中に不純物として存在していた。これらのことから、この合金では、Al_4C_3が核生成物質として作用することが微細化結晶粒子生成の原因であることを明らかにした。
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