Co-NiならびにCo-Fe系合金は磁気記録材料への応用が期待されるものであり、これら合金を安価かつ大量に作製可能であるプロセスとして電析法が注目されている。しかしながら、電析法によるCo-NiならびにCo-Fe系合金薄膜の作製は他の遷移金属及びその合金系と比べて報告例が少なく、また析出挙動及び析出膜の物性も系統的に調べられていないのが現状である。 そこで本研究は、Co-NiならびにCo-Fe系合金薄膜の作製を行い、薄膜作製条件の最適化および電析膜の結晶構造、表面形態を解析した。その結果、合金薄膜の組成はCo-NiならびにCo-Fe系ともに、析出電位の変化にはよらず、電解浴の組成に依存していることが明らかになった。また、その合金薄膜の析出挙動は、電気化学的に貴な金属の析出が抑制された異常共析型であった。これらの知見は、電析膜の組成制御に対して有用な知見を与えるものである。また、これらの合金薄膜をエピタキシ成長させるための基板の選択およびその基板上への合金薄膜の作製を試みた。CoのC軸に対するミスフィットの観点から基板として銅を選択した。この銅の単結晶基板[(100、(110)、(111)]上において、Co-Fe系合金薄膜の作製を試み、作製された膜の結晶構造の評価を行った。Cu(100)ならびに(110)面上で作製された薄膜は多結晶体となっており、エピタキシ成長による強い配向性は確認されなかった。一方、Cu(111)面上における電析膜はCo(110)面における強い配向性を示した。これらの知見はCo-FeならびにCo-Fe系合金薄膜の電気化学的graphoepitaxyの可能性を示唆するものである。
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