半導体、特にsiの重要性は年々大口径化されるウェーハの作製に見てとれ、現在では16インチ径の単結晶の引き上げが計画されるに至っている。しかしながら大口径化に伴って必要となる設備経費は増加の一途であり、費用対効果の面で疑問視する声も少なくない。この点から、大口径化とは正反対の発想として、〜1mm^ψの球状単結晶の表面に集積回路を形成する試みがなされ、低価格次世代ICとしてマイクロマシン等への応用が検討され始めている。ただし問題はいかにして安価に単結晶を作るかであり、その方法は未だ確立していない。本研究は液滴をそのまま結晶化する技術の確立を目的とし、レーザー照射を併用した電磁浮遊炉による浮遊溶融Siの凝固過程の高分解高速ビデオによる観察から、液滴の過冷度(ΔT)と凝固界面形態の関係を調べた。その結果、OK<ΔT<40K;凝固結晶形態が板状となるregion IA、40K<ΔT<100K;板状結晶に枝分かれが生ずるregion IB、100K<ΔT<200K;規則的に配向したファセットデンドライトを呈するregionII、200K<ΔT;界面形態は不規則なデンドライトとなり凝固組織は微細化した等軸晶となるregionIIIに分けられることを明らかにし、ΔTをIAに制御することにより液滴をそのまま単結晶化できることを実験的に示した。また界面形態の変化を板状結晶の端部の不安定化と捉え、板状結晶からファセットデンドライトへ形態が変化する臨界過冷度が液滴サイズに依存すること、具体的には液滴サイズを小さくすることによりIAの領域を拡大できる可能性のあることを示した。
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