前年度作成したファジィ制御アルゴリズムにおいてメンバーシップ関数やプロダクションルールを決定するため、酵母からのインシュリン生産の培養を繰り返し行って基礎データを蓄積してきた。また前年度までのアルゴリズム作成結果はJounal of Molecular Catalysisに投稿し、アクセプトされている。なお最近プロテオーム解析技術を応用することが菌体内の生理活性を把握する上で非常に有効であることがわかってきたので、2次元電気泳動データを活用して、ファジー制御において特にメンバーシップ関数のチューニングに役立てる方法を検討することにした。これまでに2次元電気泳動を用いることにより菌体内の蛋白スポットを300個以上得ることに成功しており、培養状態を詳細に認識する上で非常に有用な情報源となりうると思われる。各スポットの同定も試み始めているが、現在までの所はっきりと同定することはできず、どのように二次元電気泳動のデータをファジー制御に用いるかは今後の検討課題である。 またメンバーシップ関数のチューニングに関するアルゴリズムも現在作成中であり、これまでに誤動作に起因するプロダクションルールやメンバーシップ関数を割り出すプログラムを完成しており、最適チューニングシステムを完成すれば、二次元電気泳動のデータや、培養実験データを蓄積することにより、バイオプロセスでのファジィ制御システムに飛躍的な進展があると確信している。
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