各種ダイオキシン類のモデル物質としてビフェニルを、モデル土壌として炭素含量約5.6%の黒ボク土を用いて研究を行い、以下の結果を得た。 (1)ビフェニル吸着土壌とHP-β-CD(CD)との混練時の含水率の増加に逆比例して、ビフェニルの脱離溶解量は減少した。また、CDと土壌吸着ビフェニルとの包接複合体形成に、混練剪断力が関与していることが示唆された。 (2)CPと土壌を混練した場合、土壌からのビフェニル脱離溶解量が飽和値に達するまでの時間が著しく短縮され、汚染土壌からのビフェニルの脱離溶解処理に、混練操作が極めて有効に働くことを示した。 (3)CDに包接されたビフェニルを土壌から完全に分離除去するために、多回洗浄操作を行った。CD水溶液を洗浄液とした場合、洗浄回数と共に洗浄効率は増加し、3回洗浄でほぼ100%の洗浄率が達成できた。 (4)ビフェニルとCDの包接が活性汚泥処理速度に与える影響を検討した。あらかじめビフェニルをCDに完全包接した水溶液を活性汚泥処理した場合、包接が十分でない場合に比べ、ビフェニルを完全分解するに要する時間が約1/5に短縮した。 (5)ビフェニルとCDとの混練土壌を直接活性汚泥と混合し、振盪分解する土壌スラリー微生物分解について検討した。ビフェニルは土壌が存在しない場合と同一の速度で分解され、土壌スラリーの直接活性汚泥分解が可能であることが示唆された。
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