研究概要 |
本年度の研究計画は「溶解性気泡乱流における濃度拡散と相間物質移動の制御」を達成することであったが,実施計画に基づいて実験・モデル解析を行った結果,以下の成果を得た。 1.ガスリフト作用を利用した二酸化炭素の海洋処理(GLAD)システム内を模倣するための気泡群分散システムを製作し,反射型光ファイバープローブによる気泡分散特性(気泡の上昇速度・高さ分布)の自動サンプリング解析システムを構築した。これにより,気泡間相互作用下にある気泡流の統計的把握とコヒーレント構造化について有用な知見を得た。 2.上記とは別の(透過型)光ファイバープローブを製作し,異なる蛍光pH指示薬を用いた溶解成分拡散の測定に適用した。前年度から使用しているアルカリ側で蛍光を発する指示薬の問題点を解消すべく,本年度から導入した酸性側蛍光指示薬の使用により二酸化炭素溶存濃度の測定がより確実に行えるようになった。同時に設置できるプローブの数が限られているため,空間解像度では劣るが時間解像度に優れた計測システムが構築できたと言える。 3.二酸化炭素溶存濃度の時空間分布を定量的に測定するため,特に十分な空間解像度を確保するために,レーザ励起蛍光可視化法による気泡周辺の局所流れ構造と濃度拡散パターンに関する解析を,気泡間相互作用下にある気泡に対して行った。得られた可視化データとプローブ・データを組み合わせることにより,気泡流構造化プロセスにおける気泡周辺の物質拡散ダイナミックス,特に拡散の促進・制御,に関して理解を深めることができた。
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