研究課題/領域番号 |
12650758
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩井 芳夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (80176528)
|
研究分担者 |
米澤 節子 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (50294898)
東 秀憲 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (40294889)
|
キーワード | 超臨界二酸化炭素 / 水 / パルミチン酸 / エントレーナ効果 / 赤外吸収スペクトル |
研究概要 |
循環式FTIRスペクトル測定装置を製作した。その装置により、超臨界二酸化炭素+パルミチン酸の赤外吸収スペクトルを20.0MPa、308.2Kで測定したところ、1762cm^<-1>と1716cm^<-1>にパルミチン酸のC=0伸縮バンドに帰属するピークが観察された。前者のピークはパルミチン酸のモノマーによるもの、後者はダイマーによるものと同定した。さらに、この系に水を添加し波形分離したところ、1746cm^<-1>に新たなピークが出現し、このピークは水1分子と相互作用しているパルミチン酸モノマーのC=0伸縮によるものと同定した。そのピークは水の添加量を増やすと高くなり、パルミチン酸のモノマーとダイマーに帰属するピークは減少したことから、水の添加量によりダイマーの結合がある程度壊され、モノマーと水の相互作用種が増加することがわかった。次に、超臨界二酸化炭素+パルミチン酸にエタノールを添加した実験と比較した。その結果、次のことがわかった。パルミチン酸モノマーと水の相互作用種のピークはパルミチン酸モノマーのピークより16cm^<-1>レッドシフトしているが、パルミチン酸モノマーとエタノールの相互作用種のピークは22cm^<-1>レッドシフトしている。パルミチン酸モノマーとエタノールの相互作用種の濃度の方がパルミチン酸モノマーと水の相互作用種の濃度より高い。これらより、水はエタノールと比較してパルミチン酸との相互作用が弱いと推察される。また、水を添加することによりパルミチン酸のダイマーの結合がある程度壊され、モノマーと水の相互作用種が増加することから、高級脂肪酸を超臨界二酸化炭素で抽出するプロセスを考えると、水をエントレーナとして添加することで、高級脂肪酸の抽出量が増加するものと思われる。
|