種々の圧力下でのIR測定を行い、理論計算を利用することにより活性炭表面上でのC0およびベンゼンの吸着サイトをモデル化し、それらの吸着状態を明らかにした。また、昨年の結果と併せ本研究を総括し、それらの成果の一部を第7回国際吸着会議で発表した。 活性炭に吸着したCO、のIR吸収スペクトルは2つのピークに分離され、そのうち1つはグラファイトシートへの物理吸着種に帰属された。また、気相より高波数側のピークは、静電的相互作用を受けた吸着種に帰属され、-0.5価程度の電荷を持つ含酸素官能基が吸着サイトの1つであることが示唆された。2つの吸着COのIRピークの相対強度は被覆率によってほとんど変化せず、極性官能基による相互作用が、グラファイトシートとの分散力に付加的と言うよりも、相補的な関係にあることが示された。 ベンゼンの場合、低被覆率時にはグラファイトシートとの分散力相互作用による吸着が支配的である。一方、高被覆率時には、赤外禁制帯の誘起が認められ、静電的相互作用の存在が示された。すなわち、低被覆率時には分散力相互作用を効率よく受けることができるグラファイトシートめ中央部が優先的吸着サイトとなるが、高被覆率時には分散力相互作用の小さいグラファイトシート末端部にも吸着が起こる。このときシート末端にある極性官能基から静電的相互作用を受けるが、CO吸着と異なり、ベンゼン吸着では静電的相互作用が分散力相互作用の減少分を補完できないため、シ-ト周辺部は弱い吸着サイトとなる。 活性炭表面の弱いLewis酸点に吸着したピリジンに帰属されたIRピークの強度は活性炭表面のカルボニル基の吸収ピーク強度と弱い相関を示し、表面カルボニル基がLewis酸点近傍に存在することが示唆された。
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