研究概要 |
本研究はローズベンガル水溶液の光分解反応速度を利用して照度を測定する化学光量計の開発とその応用について検討するものである。 ローズベンガルの光分解反応特性は,2次反応に従って反応が進行することおよび初期反応速度定数が光源からの距離の2乗に反比例することが咋年度の実験結果から明らかになった。そこで,2次反応速度から照度を求める際には解析が複雑になることから,初期反応速度定数から照度の絶対値を求める際に必要な量子収率に相当する光利用率を求めた。具体的には,ローズベンガルの光分解初期反応速度定数から求められる照度と従来のシュウ酸鉄(III)カリウム化学光量計を用いて測定した照度を比較することから求めた。その結果光利用率は,0.02±0.003の範囲にあることがわかった。 一方,チタニア光触媒が大腸菌の光殺菌に及ぼす影響を検討したところ,殺菌効率が約43%増大することがわかった。そこで,この原因として光触媒による反射なども考えられることからローズベンガルの光分解を利用した化学光量計を用いて照度の面から検討した。43%の増大のうち27%は照度の増大がもたらしたことが明らかになった。なお,このような系に,従来の化学光量計を用いて測定しようとすると反応速度が非常に速いために測定が困難となることが予想される。
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