Ni-Sn、Pd-Geなどの遷移元素-典型元素、Ti-Pt、Ru-Tiなどの遷移元素-遷移元素の組み合わせによる金属間化合物について、触媒特性を検討した。非担持触媒は、アーク溶融法を用いて調製したインゴットを粉砕することにより得た。これを水素処理し、空気により酸化された表面を還元した。XRD、EDX、XPSの結果から、均一な組成の金属間化合物が得られたこと、および表面においても化合物が形成されることを明らかにした。典型元素を含むNi_3Sn、Pt_3Geなどは、NiやPtと比べて水素分子の解離能がはるかに低いが、アセチレンやブタジェンの部分水素化に高い選択性を示した。一方、Ti_3PtおよびTiPt_3はPtより高い水素解離能をもつことを見出した。 上記の金属間化合物を、CVD法あるいは逐次含浸法でシリカゲル上に高分散担持した。CVD法では、Sn(CH_3)_4、Ge(acac)_2Cl_2、Ti(C_5H_5)_2Cl_2などを水素とともにNi/SiO_2、Pt/H-ZSM-5、Ru/SiO_2などに供給し、Sn、Ge、Tiを蒸着させた。XRD、XPS、XAFSにより、担持した粒子が2-40nmの粒径をもつ単一相の金属間化合物微粒子であることを確認した。触媒活性は非担持化合物と比較し、高分散微粒子化により約3桁向上した。選択性については金属単体触媒にはない以下の性質を見いだした。Ni_3Sn/SiO_2はシクロヘキサンの脱水素においてベンゼンを選択的に与えた。トルエンの酸化的アセトキシル化において、シリカに担持したPd_3Bi、Pd_3Pb、PdInなどがPd/SiO_2と比較して、はるかに高い収率で酢酸ベンジルを与えた。また、RuTi/シリカはフィッシャー・トロプシュ合成において、液状炭化水素を高選択的に与える触媒であることが分かつた。Pt_3Ge/H-ZSM-5上ではブタンから高収率で芳香族炭化水素が生成した。
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