研究概要 |
部分的に占有されたLn4f軌道を含む層状タンタル酸塩RbLnTa_2O_7の電子構造および水の全分解反応に対する光触媒活性を検討した。Ln=La,Pr,Nd,Smで得られる層状ペロブスカイト単一相のUV-vis、XPSスペクトルおよび第一原理に基づくバンド構造計算より、Ta5dバンドと02pバンドとの間に位置するLn4fバンドのエネルギーは、4f電子数の増加に伴って低下することが分かった。この結果、Laを除く系ではLn4fバンドと02pバンドとの重畳を生じると推定される。紫外線照射下における水の全分解反応に対する活性はLnの種類に強く依存し、La≒Pr≪Sm<Ndの序列となった。活性序列はLn4f準位の位置の違いで説明できた。LaおよびPr系では空の4f準位が伝導帯の底付近に位置し、励起電子のトラップ準位を形成し易いのに対して、NdおよびSm系では空の4f準位はさらに低下し、伝導帯との相互作用がなくなる。一方、これらの系では充填4fバンドは価電子帯上端と重なり、Ln-O-Ta混成形成による活性向上の可能性を示唆している。層間Rb^+をNa^+、H^+によってイオン交換した場合もランタノイドによる活性序列は保たれた。すなわち、光触媒活性はペロブスカイト層の組成・構造に強く依存することが分かる。各触媒のH_2発生速度はNiO_x担持によってさらに増加し、担持量0.5wt%において最大111.7μmol/hに達した。
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