研究概要 |
好アルカリ性バシラス属細菌41M-1株キシラナーゼは,ファミリー11触媒ドメインと新規キシラン結合ドメイン(XBD)から構成される「好アルカリ性」の酵素である。 41M-1株キシラナーゼの「好アルカリ性」機構の解明を目的として,触媒ドメインについてタンパク質工学的検討を行った。触媒残基の極近傍に位置する中性アミノ酸Asn44を酸性アミノ酸Aspに置換したところ,反応の至適がアルカリ性(pH9.0)から中性(pH6.0)へとシフトした。これより,Asn44が本酵素の「好アルカリ性」という性質に重要な役割を果たしていることがわかった。本酵素の立体構造モデルから,Asn44のAspへの置換により触媒残基側鎖カルボキシル基のpKaが上昇している可能性が考えられた。 次に,41M-1株キシラナーゼのXBDに注目し,ファージディスプレイと進化分子工学を利用した機能解析を行った。XBDをコードする遺伝子にランダム変異を導入した後,ファージベクターfNE2に連結し,変異型XBDを提示するファージライブラリーを作製した。その際、繊維状ファージの外殻タンパク質gIIIpをコードする遺伝子の5'側に変異型XBD遺伝子を連結した。この変異型ファージライブラリーをキシラン充填カラムに通し,カラムを通過したファージを集めることにより,キシランheの結合能を失ったファージ粒子を選抜した。当該ファージクローンの解析により,Phe284やTrp317といった芳香族アミノ酸残基がXBDのキシラン結合に関与していることを明らかにした。
|