研究概要 |
好アルカリ性バシラス属細菌41M-1株キシラナーゼの好アルカリ性機構および基質認識・識別機構の分子レベルでの解明と,反応至適pHならびに基質特異性の変換を目的として,以下の研究実施した。 (1)触媒ドメインに存在する基質の認識・識別に関与するアミノ酸残基の特定 多糖分解酵素による基質認識に際しては,芳香族側鎖を有するアミノ酸残基の関与が示唆されている。41M-1株キシラナーゼの触媒残基近傍に存在する芳香族アミノ酸にアミノ酸置換を導入した各種変異型酵素を調製し,その基質キシランとの相互作用を調べることにより,本酵素の基質認識・識別に関与するアミノ酸残基を特定することができた。また,ある種の芳香族アミノ酸(144番目のトリプトファン)の置換により,反応至適pHが酸性側に大きくシフトすることがわかり,41M-1株キシラナーゼの好アルカリ性に関与するアミノ酸残基を明らかにすることができた。 (2)キシラン結合ドメインのキシラン認識機構の解明 41M-1株キシラナーゼのキシラン結合ドメインをコードする遺伝子にランダム変異を導入し,ファージディスプレイさせた後,キシランへの結合能を失ったファージを選抜した。キシランへの結合能を失ったキシラン結合ドメインにおける変異導入箇所を調べることにより,キシラン認識に関与するアミノ酸残基を特定することができた。また,41M-1株キシラナーゼのキシラン結合ドメインは,キシランを単糖レベルおよびオリゴ糖レベルの両方で認識・結合することを明らかにした。
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