研究概要 |
本研究では、乳酸菌と水素細菌を用いた混合培養の特性について検討を行なっているが、一般に混合培養では、微生物の種類によって至適条件が異なる。このため、混合培養の培養環境をどのように設定するかは重要である。乳酸菌と水素細菌の混合培養においてDO濃度レベルについてみてみると、乳酸菌は嫌気条件を好み、水素細菌は好気条件を好む。この場合、微好気条件で培養し、DO濃度レベルをいくつか変えて両微生物の妥協点となるDO濃度を決めれば良いが、実際には両菌体の細胞活性が、培養環境や、培養の経過とともに変化するため、あまり良い結果は得られない。そこで我々は、好気条件と、微好気条件を交互に繰り返す周期制御実験を行なったところ、細胞濃度、および目的とするPHBの生産収率ともにかなりの向上が見られた。本研究ではさらに、pHの培養特性に及ぼす影響についても検討した。まず、培養pHを6.5,7.0,7.5と変えて、乳酸菌単独培養を行った。その結果、pHが6.5と7.0の場合はあまり培養特性に変化は見られなかったが、pHが7.5の場合は、基質であるグルコースを完全には資化(利用)できず、乳酸生成も半分程度に低下してしまった。水素細菌はpHがこの範囲であれば、高ければ高いほど増殖特性が良いことがわかっているので、次にpHの混合培養特性に及ぼす影響について実験的に検討した。その結果、pHが7.0のときが、細胞増殖速度、PHB合成速度ともに最も高くなるということがわかった。今後は、DO濃度と同様に、pHも周期的に変動させた場合の特性についても検討する予定である。
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