1.嵩高い蛍光プローブ部位またはスピンプローブ部位が異なる炭素位置に結合した炭化水素鎖を持つ両親媒性化合物とフッ化炭素鎖を持つ両親媒性化合物からなる混合LB膜の相分離挙動について検討し、直鎖型炭化水素鎖を持つ両親媒性化合物の場合と異なり、プローブ部位が親水基に近づくほど相分離が起こりにくくなることを見出した。また、その理由として、プローブ部位が親水基に近づくほど、それらの分子断面積が増大し、炭化水素鎖間の凝集エネルギーが減少するためであることを明らかにした。 2.LB膜に替わる有機単分子膜として注目されている自己組織化単分子膜によるカリックスキノン/カリックスヒドロキノン系の電極表面への固定化を検討するなかで、原子間力顕微鏡(AFM)の分子分解能を決定する上で重要な付着力の分布に注目し、金基板上のチオール分子とAFM探針間に働く付着力に及ぼす表面形状の影響を実験的に検討し、表面が原子レベルで平坦な場合には、非常にシャープな付着力分布が得られるのに対し、表面がAFM探針の先端の曲率半径に近い曲率半径を持つ凹凸が存在する場合、付着力の分布がブロードになることを見いだした。
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