研究課題/領域番号 |
12650809
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
作花 哲夫 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教授 (10196206)
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研究分担者 |
尾形 幸生 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (30152375)
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キーワード | キャピラリー波 / 界面張力 / 液体表面 / 液液界面 / 光散乱 / 光ヘテロダイン法 / 電解質溶液 / トルエン |
研究概要 |
室温で熱励起されている液体界面のキャピラリー波の振幅はナノメータ程度であり、キャピラリー波のスペクトルを解析することにより液体表面および界面の微視的情報が得られる可能性がある。本研究では、キャピラリー波の光散乱スペクトルと界面物性との関係を明らかにすることを試みた。まず、トルエンと空気の界面および水と空気の界面についてキャピラリー波による散乱スペクトルを光ヘテロダイン法により測定した。散乱角を変えて測定することにより、キャピラリー波の振動数と波数の間の関係が得られる。各スペクトルをローレンツ関数でフィッティングしてスペクトルの中心を求めたところ、波数の3/2乗に比例する通常の分散関係を示した。これらの振動数と波数の関係から計算された表面張力と文献値との差はトルエンで-11±1%、水で-8±1%であった。さらに、HajilooとSlatteryによるより精密な流体力学理論(HS理論)でフィッティングを行うと、文献値との差はそれぞれ、-2.3±0.4%、水で-1.3±O.7%、であった。二つの方法を比較すると、前者の方法は後者の方法に比べて、系統的に7-10%程度小さな値を示すことがわかった。同様に、フィッティングにより得られる粘性係数については、そのばらつきは大きく、また、二つの方法で18%程度の違いがあることがわかった。次に、22.4wt%の塩化ナトリウム水溶液について同様の測定を行った。HS理論へのフィッティングの結果、得られた界面張力は文献値より2.5±1.4%小さかったが、従来法で測定された文献値とほぼ一致する結果が得られたと考えられる。粘性係数に関してもトルエンおよび純水の結果から予想される誤差の範囲内でバルクの粘性係数の文献値と一致しており、電解質による電気多重層構造形成による界面の特異的挙動は実験の精度の範囲内では観測されなかった。
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