研究概要 |
液液界面の界面張力は,界面の電気化学的なポテンシャルにより変化することが滴下電極を用いた測定により知られており,界面におけるイオンの吸脱着により説明されている.本研究で行ってきたキャピラリー波による光散乱スペクトルの測定では,平坦な界面の界面張力を非接触で測定できる利点があるほか,界面近傍の粘性の情報が得られる可能性がある.そこで,塩化リチウムを溶解せさた水とテトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレートを溶解させたニトロベンゼンの界面についてキャピラリー波のスペクトルを外部電位を変化させて測定することを試みた.電位は4電極のポテンシオスタットを用いて制御した.このとき各相において銀-塩化銀電極を参照電極とした.光散乱スペクトルは光ヘテロダイン法により測定した.スペクトルを理論解析することにより,界面張力と界面近傍の粘性係数を得た.サイクリックボルタンメトリーの結果,約200mVの範囲にわたって電流がほとんど流れない領域が確認され,測定対象としている界面がこの範囲で分極性であることを確認した.この電位窓の範囲内で電位を変化させてキャピラリー波のスペクトルを測定したところ,電位の変化とともにピーク位置に一様なシフトが見られた.また,スペクトルを理論解析することにより得られる界面張力も電位とともに一様に変化した.なお,同時に得られる粘性係数については,その誤差が大きく,電位依存性を議論することはできなかった.
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