まず、界面張力波の測定方法および解析方法について検討した。散乱光を光ヘテロダイン検出する方法で、液体界面の界面張力波のスペクトルを測定し、得られた結果を流体力学理論と比較することにより解析した。ローレンツ関数に回帰させることにより得られる表面張力と粘性係数を、流体力学理論で得られる相関関数のフーリエ変換として再現されるスペクトルを用いる場合の結果と比較し、測定方法および解析方法の信頼性について考察した。この結果をもとに、種々の液液界面での界面張力波の光散乱スペクトルを理論スペクトルと比較し、界面張力が得られることを示した。また、電位を制御した液液界面についても検討を行った。 経験的に分子性液体の表面張力を予測する方法の一つであるパラコールを用いる方法をフルオロアルカン類に適用すると、パラコールの加成性がくずれることを示した。この結果は、液体中および表面における分子の構造化の観点から考察できることを指摘した。さらに、異方的な相互作用をする分子について、分子の方向を秩序パラメータとする格子気体模型を用いた理論的な考察を試みた。この方法では、分子配向の効果が無視できない程度の大きさになることがわかった。 パルスレーザーを固体表面に照射すると様々な現象が引き起こされる。物質界面における光化学の観点から、パルスレーザー照射による表面からの放出種の挙動に着目した研究を行った。液体中での放出種の挙動に関する研究では、パルスレーザー照射により放出される化学種が存在するプルームと呼ばれる領域は高温高圧であり、新たな化学反応場として機能する可能性があることが示された。
|