研究課題/領域番号 |
12650814
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
島ノ江 憲剛 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (10274531)
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研究分担者 |
山添 昇 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (40037817)
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キーワード | FET / 二酸化炭素ガスセンサ / 酸素酸塩 / 亜硝酸ナトリウム / 大気環境 / 低温作動 |
研究概要 |
本研究は、トランジスターに酸素酸塩を接合した新規なNOxセンサについて高感度化、高選択性、長期安定性などを検討し、高性能化に関する設計と開発を目指したもので、具体的には電界効果型トランジスターについて新規酸素酸塩の探索、ゲート誘電体の探索と最適化、素子構造の設計、検知原理の明確化を行うものである。平成12年度の研究実績概要は以下のとうりである。 (1)酸素酸塩の最適化:FETに接合する酸素酸塩として、NaNO_2、NaNO_2-Na_2CO_3、NaNO_2-Li_2CO_3、NaNO_2-Ca_3(PO_4)_2、NaNO_2-WO_3についてNO_2検知下限を検討した。その結果、NaNO_2、NaNO_2-Na_2CO_3、NaNO_2-Li_2CO_3では200ppbまで検知可能であったが、NaNO_2-Ca_3(PO_4)_2で50ppb、NaNO_2-WO_3で30ppbまで検出下限を下げることができた。この検出下限は日本の大気環境基準を下回る値であり、組成の最適化によりさらなる向上が見込まれる。また、これらの応答速度は酸素酸塩を複合化することにより大幅に改善された。 (2)ゲート誘電体膜の探索:ゲート誘電体膜としてSi_3N_4やSiO_2を用いた場合、酸素酸塩中のNaイオンが誘電体膜と反応し、FET特性が安定しないが、Ta_2O_3を用いることにより安定したセンサ特性が計測可能となった。但し、Liイオンとの反応性を考慮するとさらなる探索が必要である。 (3)検知原理の明確化:本センサ素子の検知原理は亜硝酸ナトリウムの平衡起電力に起因し、ゲート電極と亜硝酸ナトリウムとの界面の電位がFETのソース・ドレイン電流を支配していることをセンサ特性から確認した。
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