研究概要 |
本研究では、トランジスターに酸素酸塩を接合した新規なNOxセンサについて、高感度化、高選択性、長期安定性などの高性能化に関する設計と開発を目指している。本年度は以下の項目について検討し、炭酸ガスおよび水蒸気存在下でも10ppbのNO_2を検知できるセンサが得られた。 1.酸素酸塩への金属酸化物添加効果 亜硝酸ナトリウムに酸化タングステンを添加した酸素酸塩をFETのゲート部に接合したところ、130℃で10ppbのNO_2を検知できることがわかった。また、センサの応答速度は亜硝酸ナトリウムと酸化タングステンの比に依存し、亜硝酸ナトリウム:酸化タングステン=5:1のときが最も良好な応答速度を示した。 2.他ガスの影響I 他ガスの影響を調べるために、NOおよびCO_2をNO_2と共存させ、センサ特性を検討したところ、NOよりNO_2の方が検出下限濃度が約ほど低く、NOが100ppb存在下でもNO_2濃度が20ppb以上あればNOの妨害は無視できることがわかった。また、CO_2は3,000ppmの高濃度であってもまったくNO_2検知に影響を及ぼさないことがわかった。 3.他ガスの影響II 水蒸気共存下でのNO_2の応答特性について検討を行った。水蒸気をわずかに共存させると、NO_2感度は大きく低下することがわかり、この原因を調べるためにゲート絶縁膜およびリード接合部について検討したところ、リード接合に用いる金ペーストに感湿特性があることがわかった。この湿度の影響は、接合後に熱処理を行うことで大幅に低減でき、50%RHから30%RHへの変化に対してNO_2濃度測定に与える誤差は30%以内にすることができた。
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