研究概要 |
1.水溶液中における基礎的検討 (1)小型セルの試作:発光種としてトリスビピリジンルテニウム(II)錯体を使用し、小型セル(0.5ml)を試作した。一連のアミノ酸及びペプチドの測定結果よりプロリン及びN末端プロリン残基を有するペプチドに強く応答した。第二及び第三級アミンを有する基質を10^<-6>Mオーダーの低濃度でも高感度に分析できことが明らかとなった。 (2)修飾電極を用いるフロースルー型セルの試作:アルブミン及びリゾチーム修飾金電極を用いると未修飾電極と比較して一連のアミノ酸に対する著しい応答の変化が認められた。特に、リゾチーム修飾電極ではプロリンに対する選択性が大きく向上し、プロリンセンサとして利用できることが分かった。さらに、ルテニウム錯体を連結した新規錯体を調製し、これを静電的に固定したナフィオン被覆電極を使用すると、従来のルテニウム錯体を用いた結果と比較してプロリンに対する選択性の向上が認められた。 2.腐敗臭センサの試作 (1)測定条件の確立:トリスビピリジンルテニウム(II)錯体、有機塩、プロピレンカーボネート及びナフィオンを混合した電解質ゲルを調製した。このゲルを白金網作用電極、白金板対極間に挿入し、これに銀参照電極を加えてフロー型ガスセンサを作成した。本センサは水溶液の測定からも明らかなようにTMAガスに対して強く応答し、パルス電解(E_1,+1.2V vs. Ag ; E_2,+0.2V ; E_1及びE_2とも0.1Hz)により比較的安定に作動することが確認できた。この安定性は定電位電解と比較して熱発生が逓減したためと考えられる。TMAガス10から310ppbの濃度範囲で良好な直線的検量線を得ることができた。検出感度は3ppb(S/N=3)であり、ヒトの嗅覚を凌駕するものであった。 (2)実試料への応用:幾つかの実試料を試料室に一定時間放置し、発生したガスを本センサで測定した。他の手法で測定したK値との相関を調べるとイカの鮮度と良い相関が得られ、鮮度センサとしての利用の可能性が示された。
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