研究概要 |
ゼオライト構造を有するチタノシリケートであるTS-1は,過酸化水素を酸化剤とした各種有機化合物の酸化反応にすぐれた触媒として注目されている。本年度は,層状構造を有するチタノシリケートの作製と触媒特性について検討した。シリカ源としての水ガラスにTi(OC_4H_9)_4を添加し,Ti含有カネマイトの合成を試みた。この時Si/Ti比を80、40、20と変化させた。すべての試料について,カネマイト固有の層状構造の保持が粉末X線回折にて確認され、アナターゼなどの結晶性酸化チタンの生成は認められなかった。さらにUV-visスペクトル,^<29>Si-MAS-NMRの測定により,添加したTiは4配位であり,シリカ骨格内に取り込まれていることを確認した。これらの試料について層間へのピラーリングを行うために、カネマイト層間のナトリウムイオンをジアルキルアンモニウムイオンでイオン交換し、層間の拡大をはかった。Ti含有カネマイトもカネマイトと同様にイオン交換により層間の拡大を達成することができた。ジアルキルアンモニウムイオンで層間の拡大をはかった試料をテトラエチルシランとの反応によってシリカのピラーリングを行った後、ジアルキルアンモニウムイオンを焼成により除去した。これらの試料に対して、窒素吸着等温線の測定を行った結果、比表面積340-610m^2/g、細孔径0.7-1.0nmの多孔材料を得ることができた。さらに、触媒活性サイトを検討するために、フェノールレッドの臭素化反応を行った結果、触媒活性が確認された。
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