研究課題/領域番号 |
12650835
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
益山 新樹 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30157218)
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研究分担者 |
野島 正朋 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80029181)
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キーワード | グリーンケミストリー / 環境調和型反応 / 界面活性剤ミセル / ミセルへの可溶化 / 両親媒性過酸化物 / 硫化ベンジルの酸化 / オゾン / アルケンのオゾン化 |
研究概要 |
1.両親媒性ヒドロペルオキシドを用いた水中での酸化反応システム ミセル形成による水不溶性物質の可溶化能に加えて、それ自身が酸化剤としても機能する両親媒性α-アルコキシアルキルヒドロペルオキシド(α-AHP)を設計・合成した。それらは水中では、骨格構造であるアルコールエトキシレートの性質を反映した非イオン界面活性剤として挙動する。DTA/TG分析の結果、α-AHPはneatで少なくとも100℃までは分解しないことが認められ、安全性の高い過酸化物であることが分った。そこで、α-AHPミセル水溶液系で硫化ベンジルのスルホキシド化を行った。一連の実験の結果、MoまたはV触媒存在下、臨界ミセル濃度(cmc)以上のα-AHPにより、室温という極めて温和な条件下で効率よくジベンジルスルホキシドが得られることが明らかになり、水媒質中での新しい酸化反応システムとして有効であることが実証された。 2.ミセル水溶液中でのアルケンのオゾン酸化反応 有機溶媒フリーの環境調和型反応として注目されている水媒質中での有機物質のオゾン酸化挙動を理解するために、水に不要なアルケンとして1-フェニルシクロペンテン類を反応基質に選び、基質が水に分散した状態と界面活性剤ミセル中に可溶化された状態で、それぞれオゾン化を行った。反応生成物は対応する構造のオキソアルデヒド(酸化過程で水分子が関与)とsec-オゾニド(水分子は関与せず)の2種類であるが、その生成割合は水中と界面活性剤ミセル中で全く異なるだけでなく、基質の構造、界面活性剤の種類によっても左右されることが明らかになった。基質構造の違いによってミセルヘの可溶化状態が異なることが、この反応機構を解く鍵である。
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