研究課題/領域番号 |
12650844
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
泉 多恵子 山形大学, 工学部, 教授 (10007031)
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研究分担者 |
木島 龍朗 山形大学, 工学部, 助手 (50272084)
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キーワード | フェロセン環 / アントラキノン / 有機導電性化合物 / TTF構造 / UV-Visスペクトル / CVスペクトル / 酸化還元電位 |
研究概要 |
本研究は新しい導電性化合物の合成を目指して、フェロセン化合物を結合させた場合の物性の変化に注目して新化合物の合成を検討した。フェロセンは有機金属化合物であり、中心に鉄原子を有していて、電子を移動させやすい性質を持っていることが知られており、電気化学の分野では注目されている化合物である。多くの有機導電性化合物が電子のドナーとアクセプターになる分子を組み合わせたものが多く、本研究では、まずTTF(テトラチアフルバレン)構造を持っている化合物の合成について検討を行なった。フェロセン環がベンゾキノンあるいはアントラキノン化合物にC-C結合で組み入れられている化合物の合成を検討し、そののケトン部に上記のTTF結合を導入することを検討した。ベンゾキノンでは一つのケトンしか反応しなかったが、アントラキノンでは両方のケトンにTTF構造が導入できた。フェロセンの上下の環にそれぞれアントラキノンを結合したTTF化合物も合成した。さらにカルボニル基の一方がフェロセニル基となって、もう一方を水素、メチル基、フェニル機、さらにヘテロ環(フラン環、チオフェン環等)が結合した化合物類を合成し、そのカルボニルのところにTTF構造を導入した化合物類も合成した。置換基の影響をそれぞれのUV-VisとCVスペクトルの比較より電気的物性についての検討を行った。その結果ベンゾキノン化合物では電子共役の広がりが増えたこと、さらにフェロセン環が置換したことにより電子がより移動しやすくなって、酸化電位が低電位になることがわかった。またアントラキノン化合物においても電子共役の広がりが見られ、電流量の増加が見られるという、新しい物性が明らかとなった。置換基の影響としてはヘテロ環よりもメチル基のような電子供与性基の方が電子移動が起こりやすいことがわかった。
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