研究概要 |
前年度に得た知見,すなわち,acrolein 1, 2-dicyclohexylethylene acetalと低原子価チタニウム反応剤[Ti(O-i-Pr)4/2i-PrMgCl]とから発生するアリルチタン化合物がイミン類とホモエノラート等価体として高選択的に反応し初めてイミンと高選択的に反応するキラルホモエノラート等価体の開発に成功したことをもとに、さらにこの反応の適応を明らかにする目的で,5員環,6員環の環状イミンとの反応を行った。その結果,この場合も高い光学純度(78%ee以上)の付加物が得られることをみいだした。さらに,α-アルコキシイミンでの重複不斉反応制御が可能であること,また,β-アルコキシイミンでは重複不斉制御は見られないとこを明らかにした。以上の知見をもとに,植物性環状インドールアルカロイドや抗HIVポリグアニジンアルカロイドbatzelladine Dの不斉合成を行った。以上の結果を論文(Okamoto, S. ; Teng, X. ; Takayama, Y. ; Sato, F.J.Am.Chem.Soc.2001, 123, 3462-3471)で報告した。 本反応は光学活性γ-アミノカルボニル化合物の新しい不斉合成の道を拓いたと考えている。この反応は用いる基質が入手容易であり,また低原子価チタン反応剤は安価かつ無毒性であることから大量合成にも耐えうる実用性が高い反応である。
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