アルキニル基が置換基したπ-アリルイリジウム中間体とマロン酸エステルのエノラートの反応を行い、アルキル化の位置選択性を調べた。2-Nonen-4-ynylacetate(以下化合物1とする)はイリジウム錯体触媒存在下マロン酸ジエチルのエノラートと反応し、ethyl 2-ethoxycarbonyl-3-ethenyl-4-nonynoate(以下化合物2とする)とethyl2-ethoxycarbonyl-4-undecen-6-ynoate(以下化合物3とする)を生成物として与えた。(E)-1とマロン酸ジエチルのエノラートの反応では、収率87%で生成物が得られた。2と(E)-3と(Z)-3の生成比は65:33:2であった。基質の立体化学により生成物の選択性は異なった。(Z)-1とマロン酸ジエチルのエノラートの反応では、収率86%で生成物が得られた。2と(B-3と(Z)-3の生成比は2:3:95であった。2-Ethenyl-2-heptynyl acetate(以下化合物4とする)は1の構造異性体であり、アルキニル基が置換基したπ-アリルイリジウム中間体を生成する。4とマロン酸ジエチルのエノラートの反応では、収率83%で生成物が得られた。2と(E)-3と(Z)-3の生成比は40:9:51であった。(E)-1からはsyn体のπ-アリルイリジウム中間体が生成し、(Z)-1からはanti体のπ-アリルイリジウム中間体が生成する。syn体とanti体ではアルキル化の位置選択性が異なることがわかった。4からはsyn体とanti体の2つのπ-アリルイリジウム中間体が生成するためにこのような生成物分布になったと考えられる。
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