研究概要 |
本年度は、ニッケル錯体および白金錯体触媒存在下、シス-またはトランス-1,2-ジメチル-1,2-ジフェニル-1,2-ジシラシクロペンタンとアセチレン類との反応を行い、シラシクロペンタンの立体化学について検討した。触媒量のエチレンビス(トリフェニルホスフィン)白金錯体存在下、シス-1,2-ジメチル-1,2-ジフェニル-1,2-ジシラシクロペンタンとジフェニルアセチレンとの反応を150℃、24時間の条件で行うと、シス-1,4-ジメチル-1,2,3,4-テトラフェニル-1,4-ジシラシクロヘプト-2-エンが93%の収率で得られた。同条件下、トランス-1,2-ジメチル-1,2-ジフェニル-1,2-ジシラシクロペンタンとジフェニルアセチレンの反応を行うと、トランス体の付加物が唯一の揮発性生成物として89%の収率で得られた。また、1-ヘキシンやフェニルアセチレンと反応させても、立体特異的にそれぞれの付加物を与えることを明らかにした。触媒量のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル錯体存在下の反応においても、同様に立体特異的に反応が進行した。 また1,1-ジメチル-2,2-ジフェニル-1,2-ジシラシクロペンタンを合成し、パラジウムおよび白金錯体触媒存在下、末端アセチレンとの反応を行い、そのレジオケミストリーについての検討を行った。1,1-ジメチル-2,2-ジフェニル-1,2-ジシラシクロペンタンを触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムまたはエチレンビス(トリフェニルホスフィン)白金錯体存在下、フェニルアセチレンと反応させると、位置特異的に4,4-ジメチル-1,1,2-トリフェニル-1,4-ジシラシクロヘプト-2-エンが高収率で得られた。t-ブチルアセチレンおよび1-ヘキシンとの反応においても、同様に位置特異的に反応が進行することを明らかにした。
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