研究概要 |
生分解性脂肪族ポリエステルの諸物性を改良するために剛直かつ生分解可能な環構造の導入を検討し、ジペプチド環を持つ各種のモノマーを天然のアミノ酸より合成した。ジペプチド環を含むジカルボン酸成分としてアスパラギン酸、(dimethyl3,6-diketopiperazine-2,5-diacetate(c-D2-OMe))およびグルタミン酸の環状2量体(dimethyl3,6-diketopiperazine-2,5-dipropionate(c-E2-OMe))を合成した。c-D2-OMeはアスパラギンより3段階で12%の全収率で合成された。また、c-E2-OMeはグルタミン酸より3段階で21%の全収率で合成された。これらは共にジメチルエステルである。また、ジベプチド環を含むジアミンとしてリシン由来の環状2量体(3,6-Bis-(4-amino-butyl)-piperazine-2,5-dione dihydrochloride(c-K2-HCl))をリシンより3段階で37%の全収率で合成した。 c-D2-OMe、c-K2-HClは高融点の結晶であり、それぞれテトラエチレングリコール、セバシン酸との溶融重縮合によってポリエステル、ポリアミドを与えるが、共に難溶性の固体であり、c-D2-OMeからのポリエステルは非晶性で200℃付近に、c-K2-HClからのポリアミドは結晶性であったが融点に達する以前の250℃付近に熱分解開始温度を有していた。 一方、c-E2-OMeは粘性の液体であり、1,4-ブタンジオールとの溶融重縮合が可能であった。重合は150℃で進行し、生成したポリマーはクロロホルム等に可溶であったが重合度は低く、η_<sp/C>=0.04程度であった。
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