研究概要 |
酸素や窒素、二酸化炭素を還元し分子変換を行うためには一度に複数電子を送り込む事ができる系の構築が必要とされている。はじめに、静電結合型の二核コバルトポルフィリン(CoP2)を合成し、電子供与体としてポリアニリンを複合させて、酸素還元を実施、4電子効率を80%に向上させることに成功した。マトリックスのレドックス電位がCoP2の電位より低くなるに従い酸素4電子還元の選択率が向上することを明らかにた。 最終的には、体内と呼吸と同じ条件で中性下における酸素4電子還元を進行させるために、幅広い領域でレドックス応答を示す自己ドープ型ポリアニリンPoly(2,3-dicarboxyaniline)(PCAn)に着目しPCAn-CoP2錯体触媒による酸素還元を観測している。 PCAn-CoP2は中性下における安定なレドックス活性に加えて高密度なカルボキシル基が膜内pHを低く保つことができるので、pH=6.2の中性に近い条件下でも95%以上の選択率で酸素分子の1段階4電子還元を進行させることに成功した。 このような一段階多電子移動高分子錯体を利用した酸化重合反応をアニリン、チオフェノールな易動性水素持つ化合物へ展開、常温常圧の温和条件を行かした精密合成の具体的方法の可能性を示した。
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