糖由来ラクトンとして、まずD-グルクロン酸の還元性末端を還元して得られるL-グロン酸の4つの水酸基のうち、5位と6位、および2位と3位の水酸基をイソプロピリデン基で保護してラクトン(1および2)を合成し、これらとL-リジン由来のジイソシアナートとの重付加をDMF中25℃で行い、ラクトン環を側鎖および主鎖に含むポリウレタン(3および4)を得た。 得られたポリウレタンをトリフルオロ酢酸-水混合溶媒中で脱保護することにより、ラクトン環と水酸基を併せもつポリウレタン(5および6)に変換できた。これらのポリウレタンのDMF溶液を試験管に入れ、溶媒を減圧留去することにより試験管内に製膜した。25℃の恒温糟中でpH7および8のリン酸緩衝溶液に浸漬して、加水分解速度を調べた。その結果、側鎖にラクトン環をもつポリウレタン(1)の方が主鎖にラクトンをもつポリウレタン(2)より加水分解しやすいこと、水酸基を併せもつポリウレタン(3および4)の方が、もたないポリウレタン(1および2)よりはるかに加水分解しやすいことなどが明らかになった。 本研究で得られたポリウレタンは、出発原料の糖、アミノ酸、および二酸化炭素に分解するので、生体内分解吸収性材料あるいは環境負荷軽減型高分子材料として期待できる。ポリウレタンウレアについては2001年度に研究する予定である。
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