研究概要 |
1.キラル構造を有する光応答分子としてアゾベンゼン誘導体を合成した。このキラルアゾベンゼン分子を低分子液晶にドープすることで、らせん構造を有するコレステリック液晶相を発現した。紫外光照射に伴うトランス体からシス体への光異性化により、キラル分子がらせん構造を誘起する際のねじり力が減少した。 2.アゾベンゼン分子のキラル置換基構造、および4,4'位に同じあるいは異なるキラルティを有するキラル置換基を導入し、光異性化に伴うねじり力の変化挙動を検討した。剛直なキラル置換基が、ねじり力、光変化が大きいことが分かった。また、キラリティーを変えることで、結果的に発現する光変化によるねじり力を減少するばかりでなく、増大することも可能となった。 3.光応答性を示さず、かつキラルアゾベンゼン分子と反対向きのらせん構造を誘起するキラルドーパントをキラルアゾベンゼン分子と一緒に低分子液晶にドープすることで、両者のねじり力を相殺した補償ネマチック液晶を形成した。この補償ネマチック液晶に紫外光・可視光を照射することで、系の透明状態ー不透明状態間の光スイッチングが誘起できた。 4.透明状態-不透明状態間の光スイッチングにメモリー性を付与するために、高分子液晶との複合化を行った。複合材料においても、低分子系と同様の光スイッチングが誘起できた。この時の不透明状態の安定性(メモリー性)は特に低温条件下において著しく向上することが明らかとなった。
|