研究概要 |
高速飛行体の惑星大気圏突入時には様様な方法を用いて減速する必要がある.最も有効な空力的減速法の一つに,パラシュートがあり,軽量且つ収納スペースが小さくて済み,確実で大きな抗力が得られる点で多く使用されてきている.このようなパラシュートは超音速で開傘することが要求されているが,それ自身の持つ柔軟性,複数の衝撃波の存在等,非常に複雑な現象であり解析はかなり困難である. 本研究においては,この超音速パラシュートの空力的特徴,特に非定常性に着目して解析を行ったものである.第一段階として,パラシュートを剛体のモデルで近似し,開傘直後の挙動を流体力学的見地から,主として数値計算により解析した.流れは3次元非定常圧縮性流れとして取り扱い,流れ場の非定常性に着目して,特に衝撃波の成長発達過程を詳細に検討した. その結果,次のことが明らかにされた. 1.流れ場を特徴付ける重要な要素は傘体内側からの流体の"あふれ"と衝撃波の干渉である. 2.迎え角を有した場合の傘体の安定性を主としてピッチングモーメントの立場から検討し,概ね静安定にあることが明らかにされた. 3.傘体前方に生成する衝撃波は"波状"の構造を有し,その波は周囲に向かって伝播して行く. 以上の結果を詳細に検討した結果,今後の課題として,"波状性"衝撃波の非定常性,特にその安定性の議論が,傘体の安定性に必要不可欠であることが指摘された.また,その柔軟性,動的安定性をも含めた解析が今後待たれる.
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