研究概要 |
本年度の研究実績を以下に記す. 1.初年度(平成12年度)において,移動境界を含む流れの数値計算法について,その支配方程式(一般座標保存系表示式,ALE(Alternative Lagrangean Eulerian)表示式,移動座標法表示式)を系統的に示したが,本最終年度において更に適用例を加えたものを国際Journalに発表した. 2.昨年度(平成13年度)以来,ALE表示式を移動境界問題に適用して,ガンタンネル流の数値シミュレーションを行ってきた.数値計算では,より実現象に近い複雑な流れを模擬するという方向のほかに,モデル化(簡略化)を行って少ない計算時間で実用的な解を得ようとする方向がある.ここでは後者の例として,支配方程式として断面積の時間・空間変化を含む準一次元Euler方程式を導き出し,流体や固体間の摩擦よる圧力損失をモデル化して組み込んだ.計算法やモデルの高精度化・高信頼化を行い実験との比較により本方法の有効性が確認されたので,今後ガンタンネルの設計に役立てる予定である. 3.研究代表者が提案した移動座標法とCut-Cell法との組み合わせにより,変電所などで高圧電流をガスを噴出させながら遮断する装置内の流れの数値計算を既に初年度に行ったが,これに考察を加えたものを国際Journalに発表した. 4.また,この移動座標法をバリスティックレンジ内飛翔体の数値計算に適用し,マッハ数が1に近い超音速飛行におけるソニックブームを実験で模試するためには、ある程度の飛翔体飛行距離(つまり装置の長さ)が必要であることを示した. 5.今後本研究を数値計算法の高精度化にも発展させていくために,高精度スキームADERをソース項付き非線形保存則へ拡張させ,米国航空宇宙学会(AIAA)や数値流体力学に関する国際会議(ICCFD2)にて発表した.
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