本研究の主たる目的は、セラミックス基連続繊維強化複合材料SiC/SiCの耐酸化性向上の方法を評価し、損傷過程および破壊機構を解明することであり、それに基づき、新材料の開発と工学的設計への指針を与えようとするものである。この一年間の研究において、一般的耐酸化性に関する研究ではなく、SiC/SiC系複合材料のクリープ・酸化特性を調査した。本研究遂行上重要なポイントは、SiC/SiC複合材料の入手と、試験片加工、クリープ・酸化試験およびその機構について巨視的ならびに微視的に観察し、微視組織的パラメータと力学的特性の関係を確立することである。データ処理用の設備としてパソコンを一台買った。本年度の具体的研究実績は次の通りである。 (1)JFCCおよび航空宇宙技術研究所から提供されたSiC/SiC複合材料の入手、試験片加工およびクリープ・酸化試験を実施した。 (2)SiC/SiCのクリープ・酸化過程中に止め、その試験片での繊維、マトリックス、繊維とマトリックス界面をEPMAおよびSEMで観察を行った。 (3)クリープ試験中荷重を部分に除荷して、計測したヒステリシスループから剛性率を測定した。 (4)微視組織的パラメータと力学的特性の関係を試みた。 (5)マトリックス中の添加物より高温シールの方法と表面でのコーテイングよりガラスシールの方法について耐酸化機構の解析を実施した。 (6)本研究の成果をまとめるとともに、国内・国際会議および学術雑誌における公表を行った。
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