超大型浮体式海洋構造物の波浪中における挙動の基礎的理解に関する研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12650907
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 高木 健 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90183433)
• キーワード: 超大型浮体 / 海洋構造物 / 流力弾性挙動 / 波向線理論 / Parabolic近似 / 海上空港 / マイクロモデル実験 / 弾性平板

研究概要

昨年度までで、弾性動揺を波動の伝播として捕らえる計算法を拡張して超大型海洋構造物の波浪中動揺を平面的に伝播する波動として捕らえた場合、WKBJ近似に基づく所謂波向線理論を利用して比較的簡便な計算で超大型海洋構造物の波浪中動揺の弾性挙動を求めることができること、斜め波中に問題になる頂点を通る波向線に沿って振幅が階段状に変化する欠点も、非対称型Parabolic近似により克服できることを理論的に示した。本年度は非対称型Parabolic近似について波向線理論の計算プログラムに取り入れたプログラムを改良し、波下側における反射の影響を取り入れ、他機関において既に行われている実験と比較し数値計算結果がさらに改善されていることを確かめた。
また、既存の2m角の水槽にフラップ式の造波装置を取り付けて、周期0.2秒の波が造波できるようにし、小型弾性模型実験をおこなった。模型はOHPシートを利用して実機の弾性を超小型模型で模擬することを試み、実機の1/2200スケールの実験を行うことに成功した。実験では弾性変形を既存の超音波式変位計で計測することができたので、非常に廉価にかつ手軽に、しかし、高精度に、既存の施設では為し得なかった極短波長(λ/L=0.08)での弾性模型実験が行えた。この実験による計測値と前述のParabolic近似を取り入れた弾性挙動推定プログラムによる計算値との比較は驚くほど良く一致しており、波長が十分短ければ、超大型浮体の弾性挙動はWKBJ近似で表せることが確認された。

研究成果

• [文献書誌] Takagi, K., Yano, W., Nagayasu, M.: "Wave Drift Force and Moment Acting on a Very Large Floating Structure of Arbitrary Geometry"Proceedings of The Twelfth International Offshore and Polar Engineering Conference Kitakyushu, Japan. 1. 358-364 (2002)
• [文献書誌] Takagi, K., Nagayasu, M.: "Simulation of the Hydro-elastic Behavior of a Mat-type Very Large Floating Structure"Proc. of Int. Symposium on Modeling and their Application IA'02, Osaka. 175-180 (2002)
• [文献書誌] Takagi, K., Nagayasu, M., Yano, W: "Estimation of Hydroelastic Behavior of a Mat-Type Very Large Floating Structure by the Ray Method"Proc. Int. Symposium on Ocean Space Utilization Technology, Tokyo. 68-74 (2003)
• [文献書誌] Takagi, K.: "Hydroelastic response of a very large floating structure in waves -a simple representation by the parabolic approximationpp"Applied Ocean Research. 24. 175-183 (2002)