研究概要 |
1.まず,魚種の形状の特徴抽出について検討を行った。形状特徴抽出はステップ1とステップ2の2つに大きく分かれている。ステップ1では大脳の第5次視覚野の運動視機能を模擬して取り込まれた画像を間引きして縮小画像を作成し,魚の大まかな位置を調べる。ステップ2では大脳の第1次視覚野の形状選択機能および第4次視覚野の注視機能を模擬して得られた位置情報を元に,小領域を任意の箇所に設定し,詳細な形状特徴を算出する。この場合,ステップ1およびステップ2で使用する領域のメモリ容量がそのままシステムの計算時間,コストに大きく影響を及ぼすため,その設計が重要である。本研究では,ステップ1での原画像の画素数の縮小率1/Pと形状特徴処理に必要なDSPのプレーンメモリ容量Cの関係を明らかにした。その結果,対象としたゴマサバ,マサバ,マアジ,ムロアジ,マイワシ,ウルメイワシの6種計30尾の画像データに対して,形状特徴抽出に必要なプレーンメモリ容量を従来の方式に比べ約1/10に減少できることを明らかにした。 2.次に,この結果を用いてステップ3の大脳の第4次視覚野の注視機能および色判別機能を模擬するための色特徴抽出領域の位置を決定した。ここでは,色特徴抽出領域の位置をX方向は頭部から40%の位置に,Y方向は3つの領域の中心をそれぞれ背部から体高の33%,50%および66%の位置とした。この場合の位置設定の誤差率は最大で4%以下であり,良好に色特徴抽出領域を設定できることが分かった。また,本システムでは,メモリ容量の減少およびステップ2を3並列で処理することにより,形状特徴抽出にかかる計算時間は2.7msであり,従来の方式の約1/15の速度で処理でき,アルゴリズムの効率化を図れることが明らかになった。
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